精神科学教室 活動報告
「精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会」
2015.12.20
当院は「がん拠点病院」に指定されている関係で、病院所属医師の緩和ケア講習会受講率を90%以上に高めなければならないことになった。当科としてもこのような社会的・院内的な要請に応える必要があると考え、「精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会」を12月19・20日の2日間にわたって受講した。本研修会を受講すると、緩和ケア講習会の精神腫瘍学に関するセクションについて講師を務めることができるようになる。
講習の内容は、どのように講習を行うか、という指導に関する知識やスキルが中心であり、精神腫瘍学そのものについての知識が深まるわけではない。しかし、合宿形式で緩和医療を担当している全国各地の医師と交流することになるため、必然的にこの領域に馴染むことになる。雑談などをしていても、苦労していること、悩んでいることなどは意外と共通しており、案外このような点にも講習に参加した意義があったのではないかと思った。
いずれにしても、当科として院内の緩和医療に関わる体制を今後少しずつでも整えていかなければならない。
栃木 衛
「総合病院における摂食障害診療に関する検討」臨床精神医学44(11) : 1547~1554,2015
2015.11.28
赤羽 晃寿先生を中心とした研究報告が「臨床精神医学」に掲載されました。
下記の抄録をご覧ください。関心をお持ちの方は是非ご一読下さい。
総合病院における摂食障害診療に関する検討
―ERおよび救命救急センターを受診した摂食障害患者の特徴から―
赤羽 晃寿 初瀬 記史 押久保 岳 森山 由佳里 汐月 治実 矢倉 朱緒
抄録:摂食障害診療の治療環境(診療体制)を構築・整備することは総合病院精神医学にお
ける重要な課題である。本研究ではERおよび救命救急センターで診療を受けた患者に着
目し,その課題を検討するための手がかりとして摂食障害の臨床的特徴を調査した。その
結果,重症かつ遷延性の摂食障害が対象の約半数を占め,罹病期間が長いほど%標準体重
が低下する,すなわち身体的危機状態に陥りやすいといった特徴を見いだした。また,神
経性無食欲症の身体的危機状態の予測因子として%標準体重があげられ,これを指標にす
ることで重篤な身体状態に陥ることへの防止につながる可能性が考えられた。
臨床精神医学44 : 1547~1554