研究プロジェクト
精神疾患のバイオマーカー研究(功刀、秀瀨)
精神疾患患者や健常者の血液、脳脊髄液、毛髪、糞便などの生体試料を用いて、精神疾患の病態に関与する生体分子、代謝物、栄養素、腸内細菌を同定し新たな治療法を開発することをめざしています。
<主要業績>
- Kunugi H. Gut microbiota and pathophysiology of depressive disorder. Ann Nutr Metab Online ahead of print, 2021
- Saito K et al. Profiling of cerebrospinal fluid lipids and their relationship with plasma lipids in healthy humans. Metabolites 11:268, 2021
食品成分の脳機能維持・改善作用に関する研究(功刀、秀瀨)
食品会社と共同で、食品成分の認知機能や気分を維持・改善する効果についての臨床試験を行っています。
<主要業績>
- Otaka M et al. Effect of lacticaseibacillus paracasei strain shirota on improvement in depressive symptoms, and its association with abundance of actinobacteria in gut microbiota. Microorganisms 9:1026, 2021
コンサルテーション・リエゾン精神医学研究(赤羽、松村、金井)
身体科一般病棟および高度救命救急センターにおける、せん妄、自殺未遂患者の診療データをもとにした臨床研究を行っています。
<主要業績>
- 赤羽ほか、せん妄患者におけるsuvorexantの治療効果 臨床精神医学 49:1585-1592, 2020
- Akahane et al. Are the prescriptions of psychiatric patients who repeatedly attempt suicide distinctive? A study based on a survey of prescription drug overdose patients admitted for emergency medical care. J Dep Anxiety 8:351, 2019.
- 赤羽ほか、コンサルテーション・リエゾン精神科診療におけるフレイル患者に関する調査 最新精神医学 24:453-462, 2019
- 渡邊公、救命救急センターでのコンサルテーション・リエゾン精神科診療における高齢患者に関する検討 最新精神医学 23:509-517, 2018
- 矢倉、コンサルテーション・リエゾン精神科診療における適応障害に関する検討―Global Assessment of Functioning (GAF)を用いた評価とその有用性について― 最新精神医学 22:343-351, 2017
- 赤羽ほか、せん妄のマネジメントにおけるアリピプラゾールの有用性 過活動型せん妄に対する有効性と安全性の検討 臨床精神医学 45:961-966, 2016
- 赤羽ほか、総合病院における摂食障害診療に関する検討 ERおよび救命救急センターを受診した摂食障害患者の特徴から 臨床精神医学 44:1547-1554, 2015
- 赤羽ほか、向精神薬による大量服薬自殺未遂を繰り返す患者の前医処方内容の検討 臨床精神医学 43:545-552, 2014
統合失調症の心理社会的治療に関する研究(渡邊由、金田、池淵)
精神医学の治療手段のうち、薬物などの身体治療、精神療法と並ぶ3本目の柱である心理社会的治療について、臨床の腕も上げながら専門分野としても研究的に掘り下げています。
競争的な研究資金を獲得して取り組んでいる課題は以下の通りです。
- 統合失調症の認知機能リハビリテーションの効果研究
- 多職種アウトリーチチームによる地域生活支援
- エビデンスのある就労支援の効果研究
- 社会的認知の改善を目指す認知行動療法の開発
- 社会機能を測定するためのシミュレーションツールの開発
医師以外にも、心理社会的治療に携わる作業療法士、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士のスタッフと多職種チームとして精神障害の人たちの社会生活を支援することを目標としており、臨床面ではデイケアでの統合失調症の人を対象とした精神障害リハビリテーション、SSTのリーダーとしてのトレーニング、気分障害・統合失調症の認知行動療法・心理教育・家族心理教育の研修を行っています。
<主要業績>
- 汐月、生活支援の必要な外来患者へのケアマネジメントサービス終了2年後の追跡調査 より充実した地域生活のために 最新精神医学 23:339-349, 2018
- Ikebuchi et al. Does improvement of cognitive functioning by cognitive remediation therapy effect work outcomes in several mental illness? A secondary analysis of a randomized controlled trial. Psychiatry Clin Neurosci 71: 301-308, 2017.
- 池淵ほか、パフォーマンステストを用いた統合失調症の社会認知・メタ認知・表出行動の測定とその特徴について 精神医学 59:567-577, 2017
- 渡邊由ほか、認知機能リハビリテーションと就労支援の統合的な実施の効果についての無作為割り付け統制研究 臨床精神医学 46:445-454, 2017
- 初瀬、精神障害者の生活状況や医療ニーズについての報告 大規模な地域家族会参加者への自記式アンケート調査から 日本社会精神医学会雑誌 25:8-18, 2016
- 池淵ほか、外来患者に生活支援・ケアマネジメントサービスはどの程度必要か 精神科初診患者の全数調査 臨床精神医学 43:1063-1074, 2014
認知症の臨床研究(赤羽)
アルツハイマー病の簡便な画像検査ツールであるVSRADを中心とした臨床研究を行っています。
<主要業績>
- 押久保、アルツハイマー型認知症患者における内側側頭部の萎縮と記憶機能低下の関連 精神科 33:77-83, 2018
- 赤羽ほか、アルツハイマー病診療におけるVSRADの活用に関する検討 donepezilの服薬継続とVSRADとの関係 最新精神医学 20:538-544, 2015
- 山口、アルツハイマー病の臨床経過におけるVSRADの有用性 VSRADとFASTの相関研究 精神医学 56:1035-1040, 2014
その他 症例報告など
- Ikawa et al. A case of methamphetamine use disorder presenting a condition of ultra-rapid cycler bipolar disorder. SAGE Open Medical Case Reports 7: 1-4, 2019.
- Oshikubo et al. Graves' hyperthyroidism-induced psychosis in a patient with periventricular nodular heterotopia. Psychiatry Clin Neurosci 69: 505-506, 2015.