精神科学教室 医局員の声

きみあきの休み時間8th 精神兄弟

2016.11.21

『宇宙兄弟』というマンガを知っていますか。ともに宇宙飛行士になることを誓った兄弟の物語。弟の方が兄よりも先に宇宙飛行士になる。先を越されてしまった兄のトホホ感や奮闘が面白く描かれているのだが、さて私の弟は、精神科医である。同業者である。もちろん、誓い合った覚えはないです。2歳しか違わないのに、キャリアは8年以上、弟の方が上だ。いや、もっと上かな。もっともっと上かもね。あー、どうなんだろう、もっともっともっと上かあ。学力も年収も2000万光年くらい違うもんなぁ。敬語使わないとダメか。いろいろ教えてほしいから時々メールするんだけど、交信不能。返ってきても「アー」か「ピー」だけ。そっか、もしや「御机下」つけてないから気を悪くして?(私はこれをずっと、オツクエシタと読んでいました。ちなみに「御侍史」とは何なのか。あんまり使ったことがない。オサムライシかしら。違いますね。あとで調べよう。)
ま、彼は最初っから、なるべくして、なったのだ。私はそれを知っている。どうということはない。
えっと、先ほどの御侍史ですが、何だって!  思いもよらん読み方なのだな。医学星の言葉だそうです。

きみあきの休み時間7th 1984年のビーンボール

2016.10.31

1984年の秋の日、小学生の私は、家の壁を相手に毎日100球の投げ込みをしている。速い。私のストレートは、野球部の連中にも通用するのじゃないか、と思うようになった。速い。たぶん、自分の球は速い。この前なぞ遠投の陸上代表にも選ばれた。強肩。自分で思うほど愚図ってわけでもなさそうだ。野球部の先生にお願いしたら、特別に投げさせてやる、と言われた。やった、と思った。同時に、舐めていやがる、とも思った。見るがいい、野球部ども。念願のマウンド上で 、しかし私は両耳まで心臓になったと思うくらいに緊張し、何だかふわふわしてしまった。一人目、四球。野次られた。動揺した。二人目、ライト前にクリーンヒット。ここで降板となった。早い。お前は格好だけだ、と先生になじられた。家に帰るとテレビは日本シリーズ第6戦を映し出していた。真っ赤なグラブに白いボールが吸い込まれ、音をたてる。ただそれだけのことが幼い私の胸を打つから、日本シリーズは昼間にやれ。ジョン・レノンの回想。《どんなことだって、複雑なんだ。ボールの縫い目がくっきり見えた。硬式ボールの縫い目ってのは全部でおよそ108個あるんだが、日本じゃ煩悩の数を表すんだってね。ヨーコが教えてくれた。ベリーグッド。ともかく、悲鳴が聞こえた。気がついたら担架に乗せられていた。空を見ていた。と言いたいところだが、ホンマのところ、眩しくって、目を開けておられんかった。あの太陽の向こうには、僕たちの知らない世界がある。素敵じゃないか。野球。ベースボール。何もしない。バントしたり、塁を盗んだり、ブーマーを内角攻めにしたり、そんな地上とは無縁の世界があるんじゃないかって。そんなことを考えていた。》1回の表である。広島カープの先発、川口の話。《インハイの真っ直ぐ。ビーンボール? まさか。自分から当たりに行ったとしか思えない。》あれから32年。

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