3月12日午後、第99回東京デイケア連絡会が東大病院デイホスピタル(DH)主管で開催されたため、出席してみた。東大病院DHは1974年に故宮内勝先生が中心となって開設され、当院のデイケアにとっても源流とも言うべき深いつながりのあるデイケアである。スタッフの清水さんの他、現役やOBも加わって「東大デイホスピタルにおけるリカバリー支援」
というタイトルで活動の紹介が行われた。まずは、①メンバー主導のプログラム運営、②担当スタッフによるケースマネジメント、③CBTや心理教育による対処スキルの獲得というDHでのリハビリテーションの仕組みが現役メンバーも加わって紹介された。このような発表自体がメンバーのリハビリテーションのチャンスとして生かされていることは「出来
事はすべて個人のリハビリに使う」という説明内容と見事に合致していると感心させられた。引き続いて、OB自らがリカバリーストーリーを紹介してくれた。「社会復帰」もいいけど、「リカバリー」の方がさらに前向きな気がする、という感想に基づいて、講演のタイトルも変更されたとのこと。後半は、「これからのデイホスピタル」という内容で、英国のリカバリーカレッジを参考に現在進行形で進められているDHの取り組みが紹介された。リカバリーカレッジとは、「自分の人生をより豊かにするために、自ら主体的にこころの元気回復を求める学びの場」ということで、日本でも巣立ち会などで既に運営されているとのことである。東大DHでも、40年以上が経過して古くなったプログラムをメンバーと一緒に改編しようという取り組み(メンバーが学会に参加予定!とのこと)、院内・学内でのピアスタッフ登用や精神障がい者雇用促進などの試みが行われているそうである。診療報酬改訂などにより全国的に厳しい情勢の中に置かれ、今後の存在意義が問われる中で、同じ大学病院デイケアとして非常に参考になる話を聞くことができた。今回の催しを知らせてくれたDHの清水さん、管先生に感謝したい。
栃木 衛