東京精神医学会第106回学術集会での矢倉朱緒先生の発表について簡単に報告します。
発表テーマは,「不登校を繰り返す思春期不安症症例の入院治療」でした。内容的にすっきりしていて,分かりやすい発表でした。
「努力されたケースの発表でした」と座長の自治医科大学の須田先生からコメントをいただきました。質問は,須田先生から「担当看護師の選択に工夫はあったのか?」,朝霞病院の渡辺先生から「担当医と担当看護師の活躍はよかったと思うが,普通なら心理士とかPSWとかも関与するべきケースのように思うがどうか?」の二つでした。それには,「担当看護師の選択には看護師長などの配慮がある。担当看護師以外にも
日々の担当となった看護師もチームとして協力して関わっている。但し,対人関係を広げるのが難しい患者なので,なるべく担当看護師の関与が中心になるように配慮がなされた。心理士やPSWの関与もありだとは思うが,発表した体制で治療が回り始め
たので,それらのスタッフの密な関わりは要請しなかった....」というように答えておいででした。これらの質問は,このケースで良かったのは担当スタッフの選択だろうという話になるでしょうから,もっともなものだと思いました。私たちは,多くの患者の治療をスムーズに進めることができるように,担当スタッフの選択にもっと気配りをすることが必要なのだという問題提起をしていただいたように感じました。
2016.3.13 林 直樹