精神科学教室 活動報告
「向精神薬による大量服薬自殺未遂を繰り返す患者の前医処方内容の検討」臨床精神医学第43巻第4号:545-552
2014.04.20
下記の抄録をご覧ください。関心をお持ちの方は是非ご一読下さい。
研究報告
向精神薬による大量服薬自殺未遂を繰り返す
患者の前医処方内容の検討
赤羽 晃寿 松村 謙一 山口 大介
押久保 岳 金井 理恵 池淵 恵美
抄録:向精神薬による大量服薬自殺未遂者の前医処方内容などの調査から、繰り返される大量服薬自殺と、その防止について検討した。向精神薬による大量服薬自殺未遂者116名を対象に患者背景および前医で処方された向精神薬の投与量と併用剤数を算出し、それらと大量服薬自殺未遂との関連の有無を調査した。その結果、効果の大きな関連は認めなかったが、自殺未遂を繰り返している47名では抗不安薬・催眠薬の投与量が3188 mgとジアゼパム最大用量の15 mgを大きく超えていた。また、これらの患者の多くが人格障害であったことから、その特徴的な症状と抗不安薬・催眠薬の薬理作用が抑制欠如や衝動制御不良をもたらし、自殺未遂を繰り返している可能性を推察するとともに、抗不安薬・催眠薬の適正使用が繰り返される大量服薬自殺未遂を防止する一助になると考えられた。
臨床精神医学43(4):545~552
(2013年7月26日受理)