精神科学教室 活動報告

カンファレンス鑑定

2012.07.30

 これまでに南光名誉教授(鑑定人)の補助者として、被疑者/被告人の犯行時の責任能力を解明することを目的とした刑事精神鑑定(検察官の嘱託による起訴前鑑定)を3件行ったが、今回は初めて医療訴訟(民事裁判)の鑑定人を引き受け7月某日、東京地方裁判所に出廷した。出廷といっても『カンファレンス鑑定』というものであることを裁判所から事前に説明を受けていたので、「あーカンファレンスね」と、我々が病院内で行っているあの閉鎖的なカンファレンスをすぐに想像したため(こういうのを短絡的というのです)、法廷に入るまで全く緊張することはなかった。

 入廷。裁判官専用の扉から3名の裁判官と他の鑑定人2名の後に続いた。つまり、前から6番目である。そのため、入廷しても前が見えず法廷内がどのような状況になっているのか全く分からない。と思ったら、みなさんが一礼するので、自分も慌てて数秒遅れて一礼。するとその遅れた数秒間に視界が大きく開け、傍聴席に座っている多くの人々が目に飛び込んできた。「えっ!! カンファレンスって、そういうカンファレンスじゃないわけ。そうでしたか・・・・・・」。

 従来の鑑定方式は、鑑定人となった1名の医師が法廷でいわゆる尋問を受けるといったものであるのに対し、カンファレンス鑑定は傍聴席のある通常の法廷の真ん中に大きなラウンドテーブル(円卓)があり、そこに3名の裁判官、3名の鑑定人(医師)、原告代理人、被告代理人の計8名が着席して、鑑定人らがあらかじめ各々作成した鑑定意見書の内容について裁判官や代理人らとの質疑応答を重ねるというもので、鑑定人の負担を解消するために考え出された方式とのことである。

                                        赤羽晃寿

 

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